閲覧注意!まるで虫!ビカクシダの胞子培養を始める前に知っておきたい、ビカクシダ・胞子の事。

こんにちは。「今日も蒔くぞ」chizuruです。

今回は 自己紹介 以来 触れてこなかった 「ビカクシダ・胞子」について。

私が 初めて 胞子培養をしたのは、記録に残しているので 2019年12月、リドレイです。成功し、現在でも育苗を続けています。残していないものは、それ以前に レモイネイに挑戦し、失敗しました。

この会では 「胞子培養」を始める前に 知っておくと 役立つ「ビカクシダと胞子」について 改めて調べ、まとめてみました。

なお、この会では 胞子嚢の拡大写真を掲載します。見た目が 虫の様であったり、細かな胞子嚢が密集した写真です。苦手な方は自己責任にてお願いします。

目次

ビカクシダ?コウモリラン?呼び名が複数あるのはどうして?

「ビカクシダ」、「コウモリラン」はどちらも 日本輸入時に付けられた 「和名・呼び名」です。サボテン・多肉植物にも「和名」があるのと同様に、当時の 植物販売業者が つけたものと考えられます。

古いもので 1908年[明治41年]の 植物カタログには「ビカクシダ〜70銭」として 掲載がある様です。明治後期には 「コウモリラン」とも呼ばれていた様で、どちらが先か?は 不明です。「ビカクシダ」は 漢字で「麋角羊歯」と書きます。「麋・ビ」は 中国に古くから伝わる 空想の動物で、その姿は 大きな鹿の様だと 伝えられています。

ちなみに、学名は「プラティケリウム・Platycerium」です。「リドレイ」の場合「プラティケリウム・リドレイ」となります。

私は親しみのある「ビカクシダ」の呼び名を使い紹介していきたいと思います。

「ビカクシダ」ってどんな植物?

ビカクシダ樹木に着生して生育する シダの仲間です。熱帯地域に自生していて 貯水葉・チョスイヨウ[外套葉・ガイトウヨウ]と 鹿の角に似た形の 胞子葉の2種類の葉を出します。

ビカクシダは 東南アジア・オーストラリアなどのオセアニア・南米・マダガスカル・アフリカが原産です。原種は18種あり、園芸種も多数存在します。

「古代植物」と言われている植物の仲間でもあり、原種は3億〜5億年前に誕生したと言われています。ソテツ・イチョウも古代植物の仲間で 恐竜時代が2億年前、人類誕生が3000万年前と考えると とんでもなく長い歴史です。自分が育てている ビカクシダも 恐竜と過ごしてきた時代から 子株、胞子で 命を繋いできたのかと思うと とてもロマンを感じますね。

私が 主に育てているのは、日本の気候に近い「オセアニア」原産の ビーチーネザーランド・ヒリー・スーパーバムなどです。熱帯の植物を育てるのに 不利な東北でも 育てやすいと感じる程で、ある程度の乾燥、低温[10°以上]に強く 丈夫です。これから 育ててみたい!という方には「オセアニア」グループの品種をお勧めします。

ビカクシダってお花咲くの?

シダ植物の仲間なので 咲きません。子孫は 「胞子」か「子株」で増やします。

種子を作るものは「種子植物」、種子を作らず 胞子で子孫を増やす生き物は「シダ植物・コケ植物・藻類・菌類」です。このうち「藻類・菌類」は植物の仲間とは 見なされません。このことから 「胞子植物=シダ植物・コケ植物」のこととなります。

ビカクシダ[シダ植物]は胞子を飛ばすことで繁殖します。ただし、品種により 胞子培養できないもの、子株を出さないものもあります。

ビカクシダの胞子ってどんな風にできるの?

ビカクシダの胞子は 他のシダ植物と同じ様な作りをしています。

胞子葉の裏に 胞子を作ります。胞子のつき方や 色はビカクシダの品種により違います。

この本の中では 原種18種 それぞれの胞子のつき方の図があります。胞子のつき方まで 解説している本は なかなかないのでは?と思います。育て方・品種紹介、ビカクシダについて詳しく書いているので 是非 読んでみてください。

今年ついたばかりの胞子。ネザーランド。だいたい1年ほどかけて成熟する。

上の画像は 葉に着き始めた「若い」胞子で 色が白っぽいです。これが 時間の経過と共に 「成熟」していき 茶色く変化します。

手触りも 白い時は「サラっと」していますが 茶色い時は「ざらっと」に変化し 手に付いたり、自然に落下したりします。

茶色く成熟したもの。少し拡大して撮影。肉眼でも確認できる大きさの胞子嚢ができている。

ビカクシダの胞子、できたらどうしたらいい?

そのまま放置してもいいですし、採取するのもお勧めです。胞子ができたからといって、すぐに弾け飛んだり することはありません。

採取するなら、なるべく「茶色」で手触りが「ザラっと」してからがお勧めです。採取方法は 胞子のついた葉先だけ カットする、カットしたくない人は胞子だけ丁寧に削り落とす、葉全体が自然に落下するのを待つなどがあります。

葉についた胞子が「茶色く」変化し 手触りが「ざらっと」したら「胞子の蒔きどき・採取に適した時期」となります。白いうちに 採取しても まだ 胞子が 未熟な為、培養しても育ちません。

シダ植物は 胞子嚢から胞子を「飛ばす」事で増えます。この「飛ばす」為には この胞子嚢が乾燥により 弾けることが 必須となります。未熟な胞子は 胞子嚢に 粘着力が残っているようで 乾燥させても割れることが無いそうです。

ビカクシダではなく、他のシダ植物ですが 胞子が弾け飛ぶYouTubeがたくさんあるので 興味のある方は是非見てみてください。ビカクシダの胞子も同じ仕組みです。

YouTubeや実験では 胞子を人為的に加熱して 弾け飛ぶ様子を再現しています。これは あくまでも実験なので、ビカクシダの胞子を取り出す際は 「自然乾燥」させてください。

胞子嚢から弾け飛んだものが 本物の「胞子」です。胞子培養の際は この弾け飛んだ「胞子」から 前葉体が発生します。紙に包んで 自然乾燥させた 用紙を広げると プチプチ弾けるのが わかることもあります。ちなみにこの弾け飛んだ「胞子」の大きさは「0.01ミリ」の琥珀色の粒です。

とても小さな琥珀色の粒が 胞子。大きな粒は胞子嚢。

採取した胞子はどうやって保管するの?

「茶色く」「成熟」した胞子は 絶対に乾燥させて保管してください。葉先だけカットしたものでも 乾燥剤と一緒に保管しておく、ぶら下げてカラカラにしてから保管するなどしてください。

「乾燥」が大切です。

私の場合、葉っぱごと採取した場合は 乾燥剤と一緒にパウチ袋に入れます。胞子のみの場合は 紙に包み乾燥剤と一緒に袋に入れています。

保管は 種子とは違い、常温で 暗くなくても大丈夫との事。発芽率については 何とも言えないのですが、私の経験上「5年前のものでも大丈夫」と聞いたことがあります。

とにかく「乾燥」させ 保管してください。

この保管期間に 胞子嚢が弾けて 胞子が 出てきてしまうと思います。胞子培養する際は、茶漉しなどで 胞子嚢と胞子を 分けた方が カビなどの心配がなく 良いと思います。

まとめ

今回は ビカクシダの歴史や 胞子について調べたことをまとめました。育て方や 品種については 数多くの紹介記事があるものの、「いつ日本に来たの?」とか「胞子の保管方法」など あまり知られていません。私自身が 胞子培養を始めた頃に知りたかった事を 改めて調べ まとめた内容になっています。

胞子培養などは また別の 機会に紹介しますので 是非その際には お読みくださいね。

ビカクシダについて もっと知りたいという方は こちらがお勧めです。

培養方法は 詳しく書かれたものは少ないのですが こちらの本の中に 培養方法が 紹介されています。

今回も最後まで お読みくださり ありがとうございます。

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この記事を書いた人

東北に住む 植物の種まきに取り憑かれた人。特に好きなのは亀甲竜。冬はマイナス10度は当たり前な環境で 地球の裏側、南アフリカ原産の塊根植物を育てて居ます。ビカクシダは 栽培歴6年ほど。緩い胞子培養しています。

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